会社設立時の資金に関するポイント
会社を立ち上げる際、ビジネスモデルや事業プランなど必要なことは沢山ありますが、ここでは税理士として起業に関連するお金に関すること絞って解説したいと思います。起業時から携わった経験も数百社に渡り、アドバイス出来ることは多岐にわたります。もし具体的なご相談事項がありましたらお気軽にご連絡下さい。
最初の分かれ道。事業資金をどう準備するか?
現在では、ベンチャー企業をはじめとした起業に関する支援制度が徐々に日本でも整って参りました。事業資金の調達についても様々な方法があり、絶対的な方法があるわけではありません。業種やその人の経営者としての資質、ビジネスプランなど様々な要素が複合的に絡み合うため、この事を決める事が経営者としての最初にして最大の決断なのかも知れません。
1. 自己資金で準備する
一番リスクの少ない手法です。立ち上げ当初は、まだその会社が利益を生み出すスタートが切れるかどうかも分からない状況ですから、できる限り自己資金だけで事業資金をまかなうようにしたいところです。
今までのスキルを活かした起業や同業種内での起業であれば、開業資金+6ヶ月分の運転資金が平均的に薦められています。しかし、新サービスを中心とした会社や他業種からの参入の場合、できる限り安定した会社経営を進めるためにも1年間売上が0でも生活できる余力は残しておきたいものです。
業種によっては自己資金だけではどうしても足りないことも大いにあります。その場合は次の手段も合わせて検討することになります。
2. 融資を受ける(お金を借りる)
お金を借りる方法として、親兄弟をはじめとした親族から借りる方法や公的融資を受ける方法、地方自治体の制度融資、民間の金融機関などがあります。
創業時に限らず、融資を受ける際の優先順位は『借りづらく低金利なところから借りる』事が一番です。その後の返済計画でも余裕を持って計画を立てられるので、間違っても『借りやすいが金利が高いところから借りる』べきではありません。
親兄弟からお金を借りる際にどの金融機関よりも金利は低く借りることが出来るでしょう。しかし、事業を始める際に、親兄弟からお金を借りようとすると、まずその事業に対する説明や起業することへの理解を取り付ける必要が出てきます。これから起業を目指す経営者として、ぜひ自分の説明で親族からの理解されることを試みてほしいと思います。厳しい言い方ですが、一番近い親族にも理解されないようではまだあなたには、経営者になる上で足りない事があるのかも知れません。
次に考えられる公的資金としては「国民生活金融公庫」(通称「国金」・「公庫」)からまずは検討してみましょう。金利も低く、創業者向けの融資も整っているところが特徴の一つです。地方自治体で独自の制度融資や特定の業種に対しての助成金などの取組みを行っているところも少なくありません。最初から決めつけず、相談に行かれることをおすすめします。
最期に民間の金融機関ですが、都銀、地銀、信用金庫、信用組合などそれぞれの銀行ならではの良さがありますし、融資を受けるための書類の準備なども必要になるため、当事務所のような開業支援を行っている税理士にご相談されることも検討されることをおすすめします。
※助成金について
助成金は申請するタイミングや方法によって受給額が違います。会社設立前の方がもらえる助成金もあります。
赤羽会計事務所は助成金に強い社会保険労務士と提携していますので、まず会社設立前にご相談頂くのがベストです。
3. 出資をうける
融資は結局のところ借金になりますが、似た言葉で「出資」があります。これは、あなたが始める事業へ投資を募ることを意味します。返済義務がない代わりに、役員の受け入れやIPOを前提とした計画など、出資をうける際は融資とは別のリスクも伴います。
これからの収入。「役員報酬」をいくらに設定したらよいか?
これまで企業に勤めていた場合、「給与」を会社から支払ってもらっていたと思いますが、経営者として株式会社を立ち上げると、社長は会社から「役員報酬」を受け取ることになります。役員報酬は法人税法上原則として決算後の株主総会において決定したら原則、その後1年間は変更することができません。それだけ役員報酬を決定することは経営を左右する位重要なことなのです。税理士と相談することで、過去の業績や経験値から想定できる将来予測などを踏まえた役員報酬を決める事が出来ます。また、税理士の経験から税務当局に否認されない役員報酬の決め方などを行えるメリットがあります。
働く場所を準備する。事務所にかかる費用とは?
最近では、IT業界を中心に、自宅兼事務所で働くSOHOと呼ばれる働き方なども増えてきていますが多くの方は会社を設立した場合、何かしらの事務所を構えることが一般的だと思います。事務所を構える場合、会社を設立する際に用意したお金の大半を使用してしまう可能性があるのが事務所経費です。
今まで住居しか賃貸で借りていない方からすると、最初に驚くのが預託金や敷金、保証金と呼ばれる費用です。賃料の10ヶ月~12ヶ月分掛かることも一般的でスタート時期の会社でも数百万もの費用が必要となる事もありますので、事務所選びには注意が必要です。
店舗を構える業種の場合、飲食店や不動産会社などがあると思いますが、テナントを借りる費用にプラスして、内装工事なども必要です。ついついこだわりたくなるものですが、できる限り資金を温存することをおすすめします。
設立期間が短い企業の融資について
銀行は会社の決算書を融資条件決定のための最大の資料に考えています。銀行から融資を受け易い決算書(形式)を作成するノウハウを税理士は持っています。融資は会社経営に必要不可欠です。先行きの事業を左右します。税理士に依頼して融資を受け易い決算書を作成することは事業を進めていく上での大きなメリットになります。