創業融資は税理士が鍵!失敗を避ける選び方と費用相場

創業時の資金調達において、多くの事業者が活用するのが「創業融資」です。しかし、審査を通過するためには、事業計画や資金計画など専門的な書類の提出が求められます。こうした場面で心強い存在となるのが税理士です。

 

本記事では、創業融資の概要から税理士に依頼するメリットや依頼できる業務内容について解説します。失敗しない税理士の選び方や費用相場についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。

 

創業融資とは? 

創業融資とは、新たに事業を始める人や創業間もない事業者が、開業資金や運転資金を金融機関などから借り入れる制度です。自己資金だけでは賄いきれない設備投資や仕入れ、人件費などをカバーするために活用され、多くの事業者にとって心強い資金調達手段となっています。

 

日本政策金融公庫が取り扱っている創業融資は、新たに事業を始める事業者または事業開始後おおむね7年以内の事業者が対象となっている融資制度です。無担保・無保証人で利用でき、借入期間が最長20年の融資制度であるのが特徴で、実績のない事業者でも申請しやすくなっています。

 

ただし、日本政策金融公庫の創業融資を利用する場合、事業計画の内容を日本政策金融公庫が確認するため、創業計画書の提出が必要です。

 

創業融資を税理士に依頼するメリットは?

創業融資を受ける場合、事業者が直接申込みを行うことも可能ですが、事業が忙しく必要書類の準備など、手が回らないことがあるかもしれません。

 

その場合、税理士に依頼することも選択肢のひとつとして考えられます。

以下では、税理士に依頼するメリットとしてどのような点があるのかについて紹介します。

 

創業融資が通りやすくなる

創業融資を申し込む際には、信頼性の高い書類の提出が必要です。特に日本政策金融公庫を利用する場合、事業計画書の内容は審査結果に大きく影響します。

税理士は財務・税務の専門家です。そのため、融資審査で高く評価される事業計画書や収支予測の作成に長けています。こうした専門的なサポートを受けることで、書類の信頼性が高まり、審査通過の可能性が高くなります。

創業融資の申請を成功させるためには、税理士への依頼が有効な選択肢となるでしょう。

効率よい書類作成が可能

創業融資を申請する際には、事業計画書や資金繰り表など、さまざまな書類の準備が必要です。創業者にとって、事業計画書や資金繰り表などをひとりで作成・準備するのは時間や手間がかかります。ミスや不備があれば融資が遅れたり、場合によっては創業融資に通らなかったりする恐れもあります。

 

税理士に依頼することで、正確で効率よく必要書類の作成が可能です。

 

創業融資可能額の事前把握が可能

創業者が自力で融資額を見積もると、必要以上に高額申請して審査に落ちたり、逆に資金不足に陥ったりするリスクがあります。税理士は、事業計画や収支予測、自己資金とのバランスを客観的に評価し、適正な借入額の算出をサポートしてくれます。

 

創業融資担当者に、なぜその金額なのかを回答するには、相応の根拠が必要です。

税理士の助言があれば、無理のない返済計画とともに、申請金額の正当性が担当者に伝わることが期待できます。

 

金融機関からの信用が得られる

創業者自身が作成した書類よりも、第三者である専門家の支援を受けた書類の方が、内容の信頼性が高く、審査担当者に安心感を与える傾向があります。融資後の返済についても、的確な支援体制があると判断されやすくなります。

 

また、融資審査では事業者としての資質も重視されるポイントのひとつです。税理士と連携していること自体が、計画性や信頼性の裏付けとなり、審査通過の後押しとなることが見込まれるでしょう。

 

創業融資のために税理士に依頼できること

創業融資を申し込むにあたって、事業者が税理士に依頼するメリットについて解説しました。ここでは、創業融資のために事業者は税理士にどのようなことが依頼できるのかについて紹介します。

事業計画書の作成

創業融資の可否を左右する重要書類として、事業計画書があります。売上・利益の予測だけでなく、事業の独自性や市場ニーズ、競合との差別化なども問われます。

 

税理士に事業計画書の作成を依頼することで、収支計画や資金繰りの妥当性をはじめ、金融機関が重視するポイントを押さえた説得力ある計画書が作成可能です。

 

同時に、税理士が作成することで、客観的な作成が可能となるため、信頼度の高い事業計画書の作成が期待できます。

 

資金繰りの助言

創業融資のために事業者が税理士に依頼できることに、資金繰りの助言があります。

創業初期は売上が安定せず、資金繰りに悩むことが少なくありません。税理士は、月次の収支や固定費の状況を把握し、資金の流れを把握しています。どの時期にいくら資金が必要なのかについて助言してくれます。そのため、事業者は、タイムリーな創業融資の申込みが可能です。

 

資金計画の策定

創業融資を受けるうえで、事業計画だけでなく、現実的な資金計画の策定も非常に重要です。

 

税理士は、売上見込みや経費、借入金の返済スケジュールなどを踏まえ、初年度から数年先を見据えた資金計画の立案が可能です。これにより、資金不足や過剰な借入といった経営リスクを回避しやすくなります。

 

根拠のある資金計画が示されることで、金融機関に対しての信用度も高まり、希望する融資額が認められる可能性が高くなります。

 

補助金や助成金の相談

創業時には、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用することで、自己資金の負担を抑えつつ、資金調達の選択肢を広げることが可能です。

ただし、各制度には異なる要件や申請期限が設けられており、提出書類にも専門的な知識が求められます。

税理士に相談すれば、自社の事業内容に合った制度の選定から申請書類の作成、さらには実績報告まで、手厚いサポートを一貫して受けられます。

創業融資以外に税理士に依頼できること

税理士は、創業以外でも依頼できる点が多数あります。ここでは、創業融資以外で税理士に依頼できる点を紹介します。

 

税務面でのアドバイス

税理士は税務の専門家であり、創業時から適切なアドバイスを受けることで、安心して事業がスタートできます。

 

事業者の中には、税務知識が乏しいまま開業するケースも多く、申告ミスや届出の漏れが思わぬ経営リスクにつながることがあります。税理士に依頼することで、こうしたミスを未然に防ぐことが可能です。

 

また、税制は頻繁に改正されるため、税理士から最新の情報を得られることも大きなメリットです。これにより、不要な納税を回避し、資金の有効活用につなげられるでしょう。

 

確定申告書の作成

創業初年度から確定申告が必要となる場合、適切な帳簿づけや経費の判断ができていないと、申告内容に誤りが生じたり、不必要な税負担が発生したりする恐れがあるかもしれません。

 

税理士に確定申告書の作成を依頼することで、法令に準拠した適正な申告が可能となり、税務署からの問い合わせや調査リスクを回避できます。

 

さらに、金融機関に提出する際も信頼性の高い資料として評価され、次の融資や補助金申請にも有利に働きます。

 

税務調査の立ち会い

税務調査が行われる際、税理士に立ち会ってもらうことで、調査官とのやり取りが円滑に進み、不当な指摘や過大な追徴課税を未然に防ぐことが可能です。

 

税理士は帳簿や領収書などの根拠資料の整理をサポートし、質問に対して法的根拠を踏まえた適切な説明を行ってくれます。

 

また、調査前の事前準備や事後の対応についても的確なアドバイスを受けられるため、税務リスクを最小限に抑えることが可能となります。

 

創業融資に失敗しない税理士の選び方

創業融資の成否は、税理士選びで大きく左右されます。

ここでは、失敗しない税理士選び方について解説します。

創業融資支援の実績をリサーチする

創業融資を依頼する場合は、実際に税理士がどれだけの支援実績を持っているかを確認することが大切です。創業融資の成功率や金融機関とのやりとりの経験が豊富な税理士ほど、的確なサポートが期待できます。

 

公式サイトで創業融資の支援実績が明記されている場合は、信頼性のひとつの目安となります。実際の事例紹介が掲載されているかもチェックしておきましょう。

 

自社の業種に関する知見や実績がある

税務は業種ごとに経費の扱いや収益構造が異なるため、自社の業種に精通した税理士を選ぶことが重要です。業界特有の資金繰りや節税対策に明るい税理士であれば、事業計画書の作成にも適切な対応が期待できます。

 

これまでに同業種の支援実績があるかどうかを事前に確認することで、より安心して依頼できるでしょう。

コミュニケーションが取りやすい

どれほど実績がある税理士でも、コミュニケーションがスムーズでなければ、適切な助言や迅速な対応を受けにくくなります。

 

相談しやすい雰囲気や、専門用語をかみくだいて説明してくれる姿勢があるかは重要です。また、メールやチャットなど複数の連絡手段に対応しているか、レスポンスの早さはどうかなど、実務面のやり取りのしやすさも確認しておくことも大切です。

創業融資に税理士を依頼するときの費用相場

創業融資を税理士に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのか気になるところではないでしょうか。ここでは、費用の相場や依頼の種類について紹介します。

 

依頼の種類

創業融資を税理士に依頼する際の費用体系には、以下の3つの種類があります。

 

  • 成功報酬型
  • スポット報酬型
  • 顧問契約型

 

成功報酬型は、融資が実行された場合にのみ費用が発生する報酬体系です。初期費用をかけずに依頼できるため、創業時の資金に余裕がない事業者にとっては安心感があります。

 

スポット報酬型は、融資申請の支援業務を単発で依頼する形式で、事業計画書の作成や面談対策など特定業務に対して報酬が発生します。依頼内容により異なりますが、創業融資の申請書の作成・提出の場合、3万円~30万円が相場です。

 

顧問契約型は、創業時から税理士と顧問契約を結び、月額の顧問料の中で創業融資のサポートが受けられます。顧問料の相場は月額3万円〜10万円程度で、契約内容によって融資支援が含まれるかは異なります。長期的な関係を構築することを前提としているため、融資だけでなく継続的なアドバイスや節税対策を期待する事業者に向いているでしょう。

 

まとめ

創業融資を受けるにあたり、事業者は税理士に依頼することで、信頼性の高い事業計画書の作成が可能となり、審査に通る確率は高くなります。

 

創業融資の依頼以外にも、税理士と顧問契約を行うと、確定申告書の作成や税務調査の立ち会いなど、事業運営を行うにあたって強力なパートナーとなることが期待できるでしょう。

 

税理士選びのポイントとして、創業融資の実績のチェックや、自社の業種に知見があるかなどがあります。