税理士は、税務や財務の専門的な知識をもっているので、皆同じではないのかと思う経営者がいるかもしれません。しかし、税理士の中には悪い税理士がいれば良い税理士もいます。
どこで判断すればいいのでしょうか。
本記事では、悪い税理士、いい税理士の見分け方について解説します。良い税理士を選んだ場合、どのようなメリットがあるのかについても紹介しますので、税理士選びの参考にしてください。
【要チェック】悪い税理士の特徴7選
はじめに、悪い税理士の特徴について解説します。悪い税理士の特徴は、以下の7点です。
- 上から目線の話し方
- 返事が遅い
- 専門用語が多く内容が理解しにくい
- 報酬があいまい
- 税務以外の売り込みを行う
- 脱税や粉飾決算を提案する
- 顧客の立場に立った提案がない
上から目線の話し方
悪い税理士は、上から目線の話し方をするのが特徴です。税理士は、税務や財務に明るいのが当然です。とはいっても、顧客である経営者に対して、高圧的に話をするのはよくありません。税理士に相談したいことがあっても、経営者は税理士に相談を持ちかけにくく感じるでしょう。
返事が遅い
電話やメール等の返事が遅い税理士も悪い税理士といえるでしょう。数日経過しても返事のない税理士は要注意です。返事の遅い税理士は、帳簿の作成や決算書の作成も同様の傾向にあります。税理士として信頼性を欠くだけでなく、税務上のトラブルを招きかねません。
専門用語が多く内容が理解しにくい
専門用語を多用する税理士も悪い税理士といえます。税理士は、専門用語を使わずに顧客に理解してもらえるよう努める必要があります。顧客である経営者は税務や財務のプロではないからです。
専門用語を頻繁に使用されれば、顧客である経営者は理解できず、税理士のいっていることが頭に入っていきません。税理士は顧客に理解しやすい言葉で話す必要があるといえるでしょう。
報酬があいまい
悪い税理士には、報酬があいまいな傾向があります。業務終了後に報酬を伝える税理士には注意が必要です。
税理士に依頼する業務は限られているのが一般的です。およその相場は、税理士検索をすれば把握できます。にもかかわらず、事前に報酬を伝えない税理士は、いい加減な業務で法外の報酬を請求する恐れがあるので注意しましょう。
業務以外の売り込みを行う
税理士の中には、本来の業務以外の商品やサービスを売り込む税理士がいます。節税効果と銘打って、生命保険や損害保険を売り込むケースが代表例です。
税理士は、手数料収入が見込まれるため、売り込みを行います。顧客のことより、自身の儲けを最優先に考えている税理士には注意が必要です。
脱税や粉飾決算を提案する
脱税や粉飾決算といった不正を提案する税理士は悪い税理士なので注意しましょう。脱税や粉飾決算は違法であるので、経営者は提案に乗ってはいけません。
税理士は顧客にとって利益をもたらす提案を行うのが一般的です。顧客にとって不利な提案はもちろん行いません。脱税や粉飾決算を提案する税理士は、顧客の利益を無視しているといえるでしょう。
顧客の立場に立った提案がない
税理士は通常、顧客の立場に立って提案を行います。一方で、提案や訪問がないといった、顧客に寄り添わない税理士も悪い税理士なので注意しましょう。
顧客の事業の動向をつかみ、資金繰りや税金対策の提案やアドバイスを提供するのが税理士の本来の姿です。税務のプロとして、顧客に役立つ情報や提案を行わないのは、職務を放棄している証拠と考えられるでしょう。
悪い税理士を避けるポイント4選
悪い税理士に契約しないポイントとして、以下の4点があるので解説します。
・ 価格だけで選ばない
・ 利便性だけで選ばない
・ 知り合いというだけで選ばない
・ 紹介というだけで選ばない
価格だけで選ばない
できる限り経費を抑えて、安い顧問料で税理士探しをしたいと考えがちですが、賢明ではありません。安いだけで税理士を選ぶと、業務が粗い恐れがあるのが理由です。
処理能力を超える顧客を抱え、確定申告時において間に合わなかったり、修正申告を強いられたりするリスクが内包されている恐れがあります。価格だけで判断しないようにしましょう。
利便性だけで選ばない
会社や自宅から税理士事務所が近いからという利便性だけで税理士を選ぶことは避けたいものです。
会社に近ければ便利な点は否定できません。しかし、利便性だけで税理士を選ぶと、経営者が考えている税務や財務に関する助言がもらえなかったり、税理士との相性がよくなかったりする場合があります。税理士選びには、利便性で決めるのではなく、税理士の人柄や実績を重視して決めるのがいいでしょう。
知り合いというだけで選ばない
知り合いという理由で税理士を選ぶのは避けた方が賢明です。まったく知らない税理士より気軽に相談しやすい点がメリットとしてあるかもしれません。
しかし、知り合いだからゆえに、他の顧客より優先順位度を下げてしまう税理士も中にはいます。依頼する経営者も、今までの関係性を維持することを考えると、強くいえない場合が発生するかもしれません。知り合いの税理士を顧問とする場合には、十分注意することが必要です。
紹介というだけで選ばない
紹介も有効な税理士選びです。しかし、紹介というだけで選ばないように注意しなければなりません。紹介された税理士が、経営者にとって必ずしも有益な税理士である保証がないからです。
紹介だけで顧問契約を結ぶと、解除に手間がかかる場合があります。
経営者は、税理士を選ぶ場合、事前に税理士の実績等をリサーチして税理士選びを行わなければなりません。
良い税理士の特徴はこの7つ
悪い税理士を紹介しましたが、良い税理士の特徴として、次の7つの特徴があるので順を追って紹介します。
・ レスポンスが早い
・ 懇切・ていねいな業務
・ 人柄や人物
・ 明確な料金設定
・ 顧客の立場に立った味方になってくれる
・ 顧客の業界に関しての知見が深い
・ 税務に関する最新情報をすばやく提供してくれる
レスポンスが早い
良い税理士の特徴として、レスポンスの早い税理士があります。レスポンスが早いと、顧客は、自分のことを考えてくれている税理士であると判断します。
確定申告や税務調査といった、税理士に確認すべき事項が発生する際には、レスポンスの早さは重要です。顧客が早急に回答を求められている場合、レスポンスの早い税理士は頼りになるでしょう。
懇切・ていねいな業務
税制や節税について、経営者は興味をもっています。しかし、難しい言葉で説明されると、顧客は理解できません。
税理士には、わかりやすく説明することが求められます。顧客の税務対策に親身になって考えてくれる税理士は重宝されます。顧客の不安や悩みに、的確に対応可能で、懇切ていねいな業務を心がけている税理士を選ぶようにしましょう。
人柄や人物
税理士と良好な関係を構築するには、人柄および人物的に良い税理士であることが不可欠です。業務はもちろんのこと、温和な税理士であればスムーズなコミュ二ケーションが図られます。
税理士が短気であったり、横柄であったりすれば、顧客の経営者は相談しにくくなり、結果的に経営の足かせとなりかねません。人柄や人物の良い税理士をパートナーとして選ぶべきでしょう。
明確な料金設定
料金設定が明確な税理士は、安心感がもて、良い税理士といえます。料金設定を明らかにせず、業務のたびに追加で請求してくる税理士は、安心して会社の税務を任せられません。業務が終わると、法外な金額を請求されるかもしれません。良い税理士を選ぶには、明確な料金設定を行っている税理士を選ぶことが重要です。
顧客の立場に立った提案をしてくれる
税務業務を依頼する場合、自社の立場に立って提案をしてくれる税理士は、良い税理士の特徴として考えられます。
税理士の中には、税務に関して通り一遍の説明しかしてくれない税理士もいます。資金繰りに問題があれば提案したり、税務調査においては会社の立場に立って調査員に意見してくれたりすると、経営者は心強いパートナーと考えるでしょう。
顧客の業界に関しての知見が深い
業種によっては、商取引が異なるため、資金繰りの方法にもそれぞれ特徴があります。自社の業界についての知見が深い税理士は良い税理士と考えられます。資金繰りや節税といった経営サポートは、業界の特性を理解していないと提案できません。特性を把握できている税理士であれば、経営者は安心して業務に打ち込めるでしょう。
税務に関する最新情報をすばやく提供してくれる
税制は毎年見直しされるのが一般的です。そのため、税務に関する最新情報をすばやく提供してくれる税理士は良い税理士です。
前年度までなら節税の対象とはならないものでも、今年度より節税対象となることもあるかもしれません。最新情報をキャッチし、情報提供してくれることで、会社は節税の恩恵を受けることが可能となります。最新情報を顧客に提供してくれる税理士は良い税理士といえます。
良い税理士を選ぶメリット4選
良い税理士を選ぶと、会社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。以下の4点があるので、それぞれ紹介していきます。
・ 適切な資金繰りの相談が可能
・ 節税対策にも対応してもらえる
・ 税務調査に立ち会ってもらえる
・ 本業に専念できる
適切な資金繰りの相談が可能
良い税理士を選ぶと、適切な資金繰りの相談ができます。円滑な資金繰りができると、取引先に迷惑をかけることがなくなり、信用力がアップします。
円滑な資金繰りを行うためには、資金調達のタイミングも重要です。良い税理士は、資金調達のタイミングを把握しているので、余裕をもった資金調達が見込めます。
節税対策にも対応してもらえる
節税対策に対応してもらえる点も、良い税理士を選ぶメリットとしてあります。無駄な費用の支払いをカットでき、資金繰りの改善や安定につながります。
良い税理士は、最新の税制改正されたポイントを、顧問の会社ごとにカスタマイズして対応が見込めるので、安心して節税対策を講じることが可能です。
税務調査に立ち会ってもらえる
顧客にとって、税務調査ほど、税理士を頼りにすることはないでしょう。良い税理士なら、会社の税務調査に立ち会ってもらえるメリットがあります。税務調査に立ち会ってもらえなければ、担当官からの難しい質問に的確に回答できない恐れがあります。税理士が立ち会うことで、適切な対応が可能です。
本業に専念できる
良い税理士を選ぶと、確定申告等税務関連について、税理士に一任でき、経営者は本業に専念することが可能です。事業運営に集中できるため、収益の拡大が見込まれるでしょう。
収益が拡大すれば、顧問料の引き揚げも可能となり、税理士も一層業務を遂行してもらえ、好循環をもたらすでしょう。
まとめ
経営者が税理士を選ぶ場合、良い税理士、悪い税理士の見極めを行うことが重要です。
悪い税理士を選んでしまうと、ストレスをためることに顧問料を払うことになりかねません。良い税理士と契約できれば、資金繰りや税務調査にも的確な対応が見込まれ、事業に専念でき、業績が好転することが期待できます。
この記事で、良い税理士・悪い税理士の見分け方を参考にしていただければ幸いです。